19世紀アメリカの風景


まだフランスに印象派が誕生する前、開拓時代のアメリカにも雄大な自然を描く画家たちが活動を始めた。

ハドソン・リバー派( Hudson River School)とはロマン派の影響を受けた風景画家のグループによる、19世紀中頃のアメリカの美術運動である。
彼らが描いたのはハドソン渓谷とその周辺や、キャッツキル山地、アディロンダック山地、ニューハンプシャー州のホワイト・マウンテンの景色であった。
ハドソン・リバー派という言葉を考案した人物、あるいは文献に現れた最初の例ははっきりとはしていない。
ニューヨーク・トリビューンの美術評論家クラーレンス・クックまたは風景画家ホーマー・D・マーティンによって使われ始めたのではないかと考えられている。

ハドソン・リバー派の絵画には19世紀アメリカ開拓時代の発見、探検、移住という3つのテーマが映し出されている。
また、そこにはアメリカの風景が人と自然が平和的に共存する牧歌的な世界として描かれている。
ハドソン・リバー派の絵画は、写実的で細かくしばしば理想化された自然の描写に特徴付けられる。
そこには植民地主義政策と荒野も描かれている。
ハドソン・リバー派の画家たちは宗教上の信仰の深さはそれぞれであったが一般的にアメリカの風景という自然の中に神の偉大な顕れを観ていた。
彼らはクロード・ロラン、ジョン・コンスタブル、ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーなどのヨーロッパの画家たちからインスピレーションを得ていた。
また、ヘンリー・デイヴィッド・ソローやラルフ・ウォルド・エマーソンといった当時のアメリカの作家と同様にアメリカの自然に対する畏敬の念を抱いていた。

絵を構成する個々の要素が非常にリアルに描かれる一方で、実際に描かれたアメリカの風景はいくつものシーンや画家のイメージを合成した場合が多かった。
絵の素材を集めるためしばしば彼らは尋常でない極限ともいえる環境にも踏み込んでいった。
そのような環境では絵を描くことが不可能だったので、画家は無事旅から戻った後で旅の間のスケッチや記憶を元に絵を描いた。

トマス・コール (1801〜1848)
トマス・コールはハドソン・リバー派の創始者であると一般的に考えられている。
コールはエリー運河が開通した1825年秋にハドソン川を溯る蒸気船に乗った。
最初にウェスト・ポイントに立寄った後、キャッツキルの停泊地から西に向かい、
その地域最初の風景画を描くためにニューヨーク州のキャッツキル山地東部まで登っていった。
彼の作品が最初に取り上げられたのは1825年11月22日の「ニューヨーク・イブニング・ポスト」であった。
その頃、緑一色の風景で育った英国生まれのコールはハドソン川周辺の秋の色の輝きに目を見張った。



                     トマス・コール 「エンパイア」



作品

フレデリック・チャーチ「ウエストロック」



トーマス・ヒル「ヨセミテ渓谷」




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