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黒田清輝「舞妓」
1893年
9年間の留学を終え、二七歳となった黒田が帰国したのが明治26(1893)年7月のことである。
多感な青年期をフランスで過ごした黒田にとって、久しぶりに見る日本の風土、風俗は懐かしいというよりむしろ新鮮でエキゾチックに映った。
同年九月に久米桂一郎と共に初めて京都を訪れた黒田は、祇園で舞妓を見て、「一つの飾物だと云う何しろ珍らしくてたまらない様な感じが起った」と語っている。そこで、早速写生して油彩画に措いたのが《舞妓》である。
ラフな筆致による鮮やかな色彩の着物、美人画らしからぬ陰影を施した顔貌、鴨川を背にして欄干を握る舞妓の動きのあるポーズなど、これは日本の風俗に新奇の目を注ぐ外国人画家による作品かと思わせる作品である。
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