「ジャポニズム」とゴッホ(2)

「僕の作品は、日本人がやったものの上に成り立っている」。そう手紙に書いているゴッホはオランダ時代には「まったく」と言っていいほど「浮世絵」に興味を示しませんでした。

そのゴッホがパリに来て大量の「浮世絵」に接し、強い衝撃を受けたという。確かにパリに来てからのゴッホの作品の色彩は明るく、リズミカルだ。オランダ時代のように暗く、思い込んだような深刻さはありません。多くの批評家は「浮世絵」の明るく大胆な画風と、ストレートで明快な表現に強い刺激を受けた結果であると論評しています。とりわけ南フランスのアルル地方での作品には「光と色彩の国、日本」というゴッホの日本イメージを重ね合わせた試みが随所にみられます。

もちろん「ジャポニズム」はゴッホだけのものではありません。モネやセザンヌ、ルノワールもまた「浮世絵」や陶器、扇子や置物などに刺激を受けた画家たちなのです。

しかし、それでもゴッホの「ジャポニズム」は特別と言っていいでしょう。その思いの強さはゴッホ流で正確に日本をイメージしたものではないかもしれませんが、日本に対する愛情は正真正銘のものに違いありません。だから、日本人はゴッホが好きなのです。ちょっと変わり者だと思われているゴッホですが、それもまたゴッホの魅力ではないでしょうか。

20世紀絵画(西洋絵画美術館)

ゴッホ(ギャラリーアオキ)

ゴッホの手紙(西洋絵画美術館)

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