日本人はモネが好き(3)

モネと睡蓮

モネといえば「睡蓮」といえるほど多くの作品を残しています。ジヴェルニーに移り住んだ晩年に描いたものです。
数年前、ジヴェルニーのモネの家を見学しましたが、室内の壁には多くの「浮世絵」が飾ってあり当時のジャポニズムの一端を見るようでした。
また、庭の一部の「睡蓮の池」は明らかに日本をイメージしたものの様に思えました。
モネは「睡蓮」の何を描きたかったのでしょうか?それは、睡蓮そのものではなく睡蓮の池の水面に反射して見える別世界のイメージではないでしょうか、一見単調に見えるその風景も季節や時間、その日の天候や気温、周囲を飛び交う虫や小動物の音と匂い、それらがモネの小宇宙となって脳裏にイメージされるのでしょう。まさに印象派の真髄といえます。
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パリ・オランジュリー美術館の「睡蓮の部屋」は圧巻でした。
モネの「睡蓮」を飾るためだけに作られた楕円形の二つ部屋に巨大な作品が壁一面に展示されています。
作品8点による連作です。
自身が作り上げた「睡蓮の池」に魅了され、晩年、精魂こめて描き上げた大作。
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すでに二人目の妻アリスは世を去り、息子ジャンもまた先立ってしまった。自身は白内障を患い、手術で回復したとはいえ苦難の中にあった。
そうした逆境の中、睡蓮の展示を計画し、大作に挑戦したモネの「睡蓮」に対する強い執着心が筆に神の力を与えたといえるでしょう。
しかし、モネ自身もまた自ら計画し夢に見たこの美術館での展示には間に合わず「睡蓮の部屋」が完成する1年前に他界しました。
享年86歳。

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