下の絵はフランドル(現在のベルギー)のヴィレム・ファン・ハーヒトが描いた「ファン・デル・ヘーストの収集室」という作品です。
当時の有名な美術品収集家ファン・デル・ヘーストの画廊の様子を描いたものですが大変緻密に描かれており、39枚の絵画が描かれています。かなり長い時間をかけ丹念に描いたことがうかがえます。ヴィレム・ファン・ハーヒトはなぜ、このような絵を描いたのでしょうか。絵画の中にたくさんの絵画を描くという奇抜な発想は絵画好きなフランドルの人々に「おもしろい絵」として受け入れられたのではないでしょうか。また、美術館という概念もなかった時代ですから、こうした画廊があることを広く世に知らしめるという広報的な一面もあったのでしょう。
有名絵画を一目見たい、購入したいとヨーロッパ各国から王侯や貴族がこの画廊にやってきました。左上①の絵が下の作品です。
左②の絵が下の作品です。
上の絵は作品の左下部分です。
「ファン・デル・ヘーストの収集室」という作品全体は「画中画」として有名ですが上の画像のように「集団肖像画」的な要素も含まれています 。
- A スペインのフェリペ4世の大叔母イザベラ妃
- B ネーデルランド総督 アルブレヒト大公
- C この画廊の主人 ファン・デル・ヘースト
- Bの右隣の人物がルーベンスではないかと言われています。
- ③の絵は下の作品です。
上の画像は作品の右下の部分です。
- D この作品の作者 ヴィレム・ファン・ハーヒト
- 4の作品は下の絵です。
絵の中に絵を描くという試みは多くの画家によって試れていますが 、それはその絵を主題にしたものではありません、多くの場合のそれは二次的なものでしかありませんが 、この「ファン・デル・ヘーストの収集室」という作品は、この収集室にある作品が主題となっています。
ヴィレム・ファン・ハーヒト は他にも「画中画」を描いています。どの作品も大変な労力を必要とする作業で ヴィレム・ファン・ハーヒト 以外でこのような「画中画」を描く画家はあまりいなかったようです。