シャガールの作品を観ると「うわー!なんてきれいな絵だろう」と思ってしまう。 何とも色彩豊かでその配色が素晴らしい。
上の作品は「私と村」という作品です。生まれ故郷、現在のベラルーシのヴィテブスクという村が作品の舞台です。右の農夫はシャガール自身ですが緑色の顔をしています。そして左の馬か牛か山羊か分かりませんが目と目が合い、まるで恋人同士のようです。画面上の方には鎌を担いだ農夫と逆さに描かれた女性、左の方には乳を搾る農婦。まるで夢に出てくる故郷の一場面のように取り留めのない構図です。空中を浮遊し夢の世界に入り込んだような錯覚にとらわれます。
そして、何といってもその奇妙な色彩に驚かされます。赤、青、緑などの原色を多用し色鮮やかなシャガールの古い記憶の世界へ誘います。一見奇妙に見える構図や色彩がシャガールの訴えたい愛なのです。男女間の愛だけではなく家族や動物や草木などの自然に対する愛も同じように深い愛なのです。
「すべての芸術は愛にある」とシャガールは言っています。このように「愛」という人類普遍のテーマを前面に押し出し作品にした画家はシャガールしかいません。