ベラスケスの作品 「ラス・メニーナス」(女官たち)
中央の少女は王女マルガリータ、左端の男が画家ベラスケス。
この作品は、大きな鏡の前に集合した王家の集団肖像画ですが、肝心の国王夫妻の姿が見えません。じつは彼らは画面のほぼ中央に掛かる鏡に映っているのです。ということは、画家は国王夫妻を描いていることになり、この絵は国王夫妻の視線がとらえた情景にほかなりません。現に画家が絵筆をもっているのは右手で、鏡に映った姿ではないのです。では、国王夫妻の見ている情景を画家はどのようにして描いたのでしょうか‥‥。
一流の画家がもつチョットした遊び心で描かれたものですがなかなかユニークな発想だと思いませんか。そしてこの作品の主人公王女マルガリータは中央に描かれ、それ以外の人物は全員王女の引き立て役になっているのです。ベラスケスはこうした気遣いにも長けていたようで国王フェリペ4世には大いに気に入られました、こうしたことが宮廷画家となった要因でもあります。
胸の赤いサンティアゴ騎士十字章は画家の死後、弔意を込めて王自身の手で描き加えられたという説もあります。