19世紀中頃までのイギリスの画壇の中心、特に王立アカデミーなどはイタリア・ルネサンスの巨匠ラファエロなどを模範としていました。題材もギリシャ神話やローマ神話、または聖書などから選ばれていました。しかし、そうした古い体制に不満を持ち異を唱えた若い画家たちによってラファエロ以前、ルネサンス初期の自由で素直な表現に戻ろうと考え「ラファエロ前派」が生まれました。(ルネサンス初期の作品が自由で素直な表現とは一概には言えない気がしますが)
その中心になったのがミレイ、ハント、ロセッティの三人でした。彼らはシェークスピアなどイギリス文学や詩、そして家族の日常の風景を描き、それらは多くの人の支持を受けました。
しかし、「王立アカデミー」を批判していた「ラファエロ前派」であったにも関わらづミレイがその準会員に選ばれたのを機に「ラファエロ前派」は内輪もめにより解散となりました。結局このグループは結成後数年で消えてしまったのです。
「ラファエロ前派」がめざす絵画芸術というものがいったいどういうものであったのかいろいろ論評はあるものの、しかし、明確な定義などがあったわけでもなく単に既存の勢力批判に集中していたのではないでしょうか。いつに時代も若い人たちは古い体制には批判的になります。ミレイも1896年には「王立アカデミー」の会長となり間もなく世を去りました。
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