作品説明
1593年 川を挟んで右に紅梅、左に白梅、今まさに咲き始めた早春の梅である。川には銀箔が使用された跡があり、完成当時はさぞ華やかで優美な屏風であったと推測できる。この作品は婚礼など慶事のために描かれたものではないだろうか、左右対称の構図はいかにもそれらしい雰囲気を持っている。そして中央に大きく大胆に描かれた川とその流れを連想させる模様はどうであろう、極めてモダンなデザイン画の様相を呈しているではないか。それは今日にも通じる斬新な想像力と表現力の賜であろう。
伝統の物に新しいものを加えてゆくという進化ではなく突然変異的な進化を遂げたこの作品から尾形光琳の個性の一端が見えるような気がする。
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